香りの分析 〜fragrance analysis 〜
ロエベ プールオムは、純粋に素晴らしいクラシカルフゼア調香水である以外の何者でもない。そこにはウィットに富んだ規格外の調香も、意外性もないが、確実に上質の本流を香りの中に見ることができる。
1978年に発売されたプールオムは、古典的なオーデコロンを彷彿させるトップノートで始まる。ベルガモットやラベンダー等ハーブ類を多く含み、ハーバルな清涼感を感じさせる香りなのだが、ミドルノートに転じると途端にフローラルの香気が表れ、優しく華やかな印象を香り全体にもたらしている。
このミドルノートがプールオム最大の特徴であるのだが、古典的なオーデコロン調の香りに現代風の柔らかで優しい側面がプラスされ、クラシカルなだけではない、「洗練」をプールオムに与えたのである。
ベースノートはロエベらしくレザーノートが含まれる、豊かなウッディトーン。上質の香りを締め括るに相応しく、樹木の豊かさに、トンカビーンの微かな甘みやモス(苔)のマットでシアーな香気が融合し、トップノートから続くクラシカルなコロン調の香りをしっかりとドライダウンさせ肌に馴染ませることを実現しているのである。
ロエベ プールオムはオーソドックスであることの魅力を私たちに最大限に見せています。つまり、清潔感を表現する古典的なコロン調の香りをしっかりと踏襲し、そこにフラワーの華やかさとハーブ類の瑞々しさを少し多めに加えることで現代的な要素をプラス、そして香水の機能として欠かせない持続性も兼ね備え、香りの変化をも実現したプールオムは、気負いなくいつでも身に纏うことができる万能な香りなのです。
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