香りの分析 〜fragrance analysis 〜
鼻先をかすめる甘いピーチの魅惑的な香りにうっとりとする・・・軽やかで優しい香水かと思うと、時間が経つとともに落ち着いた豊かな香りに変容する、それが現代版フルールドロカイユである。
そもそもフルールドロカイユとは、フランスのフレグランスハウスとして名高いキャロン社より1933年に発売されたフローラル調香水の名香である。キャロンの創始者であり調香師でもあったアーネスト・ダルトフが当時としては革新的な試みであり、香水業界では新しい発見であった香料「アルデハイド」を有効に使用し、美しい香りのハーモニーを実現したことでも有名である。
アーネスト・ダルトフは印象派画家の代表として有名なモネの“睡蓮”に刺激を受け、フルール ド ロカイユを創作したという。単調な色調だけでない色彩の光と影をとらえる画風を香水で表現した結果、その香りはまるでキャンバスに塗り重ねられた絵具のように、幾重にも重ねられ、混ざり合い、類い稀な美しい香りのハーモニーを奏でている。
1993年のリニューアル版である当「フルール ド ロカイユ」は、ピーチの甘い香りが際立ち、軽やかで優しい春の小花で彩られた、フェミニンな香水であるが、美しい香りのハーモニーはそのままに、オリジナル版のスピリットが感じられる逸品である。
その香りはまるで、すべての生命が息づき始める春を髣髴させ、柔らかな光、優しい風をも感じさせる。トップノートのピーチとグリーンノートの融合が創り出す爽やかな甘みは、まるで春のそよ風のである。ミドルノートにはジャスミン、ミモザ、ライラック、すずらんなど、色とりどりの花々がキャンバスに描かれる豊かな色彩のごとく散りばめられ、生命を育む大地のようなベースノートに落ち着く。
フルールドロカイユ オーデトワレは上品で愛らしい女性を気軽に演出できる希少な香水です。爽やかな甘みが特徴でありながら、軽くなり過ぎないため、大人の女性にも相応しい香りです。 |