香りの分析 〜fragrance analysis 〜
「エトロ」というブランドを聞いて、イメージされるのは、おそらく色鮮やかなテキスタイルと独特のペイズリー柄であると思われるが、エトロデザインが持つイタリア的華やかさと遊び心からは想像もつかないほど、その香水は伝統的で、香料ひとつひとつの質の良さが際立って感じられ、そして透明感溢れる仕上がりである。そのアコード(調香)も奇をてらったものではなく、現代香水とは一線を画し、さらに1900年前半の古典的香水以前の、人工香料が多用される以前、1800年代の香水を彷彿させる。
このようなエトロからの、日本人にも馴染み深い白檀をテーマにした香りは、白檀が持つ優しい温もりと、スッと鼻からぬけるような鋭く、力強い香りの両特性をバランス良く表現している。
ビターオレンジとレモンの刺激的でフレッシュな香り立ちから始まるトップノートはやがて落ち着き、豊かな樹木の香りへと変化する。白檀はもちろんのこと、ヒノキ、そして強いグリーン様の香りとして男性用香水にはかかせないパチュリがしっかりとしたウッディのミドルノートを創り出している。この白檀を中心としたウッディ様の香りにムスクとアンバーの温かみが加わり、エキゾチックな雰囲気を醸し出す。
トップノートのフレッシュで力強い香りは豊かなウッディの香りの到来とともに消え去り、ラストノートでは柔らかく、甘い白檀の香りとなる。香り全体には瑞々しく、周囲の人々にも心地よさすらもたらす香りである。
優しい物腰の洗練された男性にも、エネルギッシュで力強い男性にも、それぞれの違った魅力の一面を、この白檀の香りが存分に発揮させてくれます。透明感があり、何度か重ねづけしても肌に馴染み、一層深みを増す香りは、男性の身嗜みにも重宝する香水です。
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