香りの分析 〜fragrance analysis 〜
新しい香水を試す時、良い意味での「裏切り」ほど心地いいものはない。そして、キャシャレル プールオムもまた、この裏切りを感じた香水の内のひとつである。
キャシャレル プールオムの広告には肉体美が美しい爽やかな男性が描かれており、柑橘系果実やフラワー、ハーブ類、樹木を含んだ香調となれば、自然と洗練された瑞々しいフゼア調の香り立ちを想像した。そして「もしかしたらよくあるトニック系の香りかもしれない…」と消極的な考えが頭の中を過ぎったことも否定できない。
しかしながら、キャシャレル プールオムは、その瑞々しいフゼア調の香り立ちの中に、コリアンダーのスパイシーノートとセージのハーバルな香り立ちで強調されたシダーの硬質なウッディトーンが見事に共存しており、瑞々しさとは対極にあるマットでアバンギャルドな香り立ちが突然立ち上り始め、その力強さと大胆な香調に、事前の予想が完全に覆されたのである。
それはまるで、爽やかで優しい印象の男性がふと見せる荒々しい情熱や、野望のようであり、キャシャレル プールオムという香水を人々の心に刻印する程のインパクトである。
キャシャレル自身もプールオムという香水を”For Risk Taker”(冒険を好む人に)と評しており、エレガンスと大胆さのコントラストが香りの特徴であると記している。
ラベンダー、レモン、ベルガモットやフラワー類の爽やかで瑞々しい香り立ちを楽しみながら、肌に吸い付くようなマットな香りで意外性を演出するキャシャレル プールオムは身嗜みの枠を超えた、大胆な感性が息づく香水です。 |