香りの分析 〜fragrance analysis 〜
アイリス、日本では菖蒲やアヤメと呼ばれる青紫の優雅な花の香料は、その根から採取され、その凛とした姿からは想像し難い、重くまったりとした、ファッティな香りが特徴の香料である。
どちらかといえば、主役ではなく、脇役や土台の部分に使用されることの多いアイリスを、女性用ではなく男性用香水の主役として用いたアイリス ブルー グリスは、そういった面で非常に稀少であるが、アイリスという香料が他の香料の良い部分を引き立て、そして意外な側面を引き出す特徴を考えると、多種多様な男性の魅力を表現する上で、創り手のクリエイティビティを刺激したであろうし、そしてそれは最も効果的な方法であったはずである。
アイリス ブルー グリスの中のアイリスはグレープフルーツやレモンなどシャープな柑橘系果実、円やかな甘さのバニラ、どっしりとした大地のように力強く、土のようなくぐもった香りを持つモスと調香されている。ビターでシャープなトップノートは次第にほのかな甘みを帯び、そして重く、深くなってゆく。アイリスが持つ香りの持続性によりもたらされる、多彩な香り変容も楽しめる仕上がりとなっている。
一方、このアイリス ブルー グリスは、純粋にクオリティの高い香水を創作することをスローガンに掲げるメートル パルフュメール エ ガンティエだからこそ創り出せた香りではないか。ファッションハウスや最近では海外スターなどが発表する香水は、コンセプトやテーマの設定が香りよりも先に来る場合が多いが、上質な香りが先にあり、その香りに沿った名前を与えられた香りはクラフトマンシップ(職人気質)や創造性に溢れ、身纏うものに真の美と恍惚感をもたらすに違いないからである。
マスキュリン=男性的と一言で表しても、想像される男性的な印象は様々。しかしながら、そんな多様性までも包み込む豊かな香りアイリス ブルー グリス。貴方の意外な一面を引き出す、そして男性的な魅力を一層引き立てる上質の香水です。
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