香りの分析 〜fragrance analysis 〜
「パチュリ」とは何か?それは植物で、香水の原料であり、アロマテラピーの分野で活躍する精油としても使用されている。シソ科の植物であるパチュリは、葉をちぎることで始めて香りを発し、そしてさらに乾燥させた葉はより一層香りを増すという。
「パチュリ」は香水を創作する上では裏方の香料と言ってよい。ローズやジャスミンなどの表舞台に立つ華やかな香料ではなく、ひっそりと他の香料を引き立てたり、香り全体に味わい深い、粋な香気を創り出すのに秀でた、まさに隠し味的な存在なのである。
パチュリ単体での香りは樹木にグリーンリーフや苔のトーンを感じさせ、そして湿気を含んだ土のようであり、カーボン(炭)のような濃くミステリアスな香気を持つ。
このクセのある香りは好き嫌いも多いが、好きになる人は非常に固執する傾向がある。ヴィヴィアンウェストウッドに代表されるように、クリスチャンラクロワ、イヴサンローランなど、アーティスティックな才能が際立つデザイナーは好んで使うということからも解りやすい。
しかしその香りの多くはパチュリ単体の香りが表すように、非常に個性が強く、どこか攻撃的で、オリエンタル調独特の濃さを持つ。それでは、「パチュリ」の香りはこのよう表現方法しか存在しないのか?
答えはNOである。エトロ パチュリはこういった奇抜なパチュリの香りとは対極にあり、パチュリの新しい可能性を見出したといっても過言ではない。
エトロの得意とする、ナチュラルでハーバルなタッチが、このエトロ パチュリにも見事に反映されている。その香気はスーッと私達の空間に漂い、周囲にゆったりとしたグリーンのオーラを創り出す。マットな香気は肌に馴染みやすく、グリーンの野性味と清潔感の間にあるような香り立ちを実現したのである。
エトロが言うようにこれはまさに挑戦であり、新しいパチュリの幕開けなのである。
洗練と癒しが共存するエトロ パチュリ、まさに大人の休日に相応しい香水である。
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