香りの分析 〜fragrance analysis 〜
天才少年と呼ばれ、若くしてオートクチュール界を席巻したデザイナー、ロベルト・カプチ。1986年に発売されたアールドカプチも、彼の才能のように、驚きに満ちた香水である。
古典的な紳士の身嗜みを髣髴させるトップノートはキリリとシャープ。レモン、ベルガモットそしてグリーンノートが際立ってクリーンなイメージを打ち出している。豊かなフラワーが香るミドルノートは、少しのスパイシーノートを含み、温かい。ラストのドライダウンは素晴らしく、微かな甘みを伴ったウッディ、パウダリーノートが肌にゆっくりと横たわるように漂う。
ロベルト・カプチの頭文字Rを冠された、アールドカプチは彼のデザイン性を象徴するような多面性とバランス感覚、そして質の高さを備えている。
クラシカルでありながらモダン、清潔感のある香りであるが、洗練さも忘れない。個性的であるが、極端になり過ぎない。アールドカプチには、どんなパーソナリティやシーンにもフィットできる、驚くべき万能性があるのである。しかしながら、その定番とも言える香りの中にあって輝く個性がアールドカプチにはある。身に纏うものが漂わせるクリーンな香りはどこかで経験したことがあるけれども、新しくて忘れ難い、特別なものなのである。
香水初心者の方にも、上級者の方の定番の香りとしても、長く愛用できるアールドカプチ。伝統的(オーソドックス)でありつつ、主張しすぎない香りを手に入れたい方にお勧めの香水です。
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