香りの分析 〜fragrance analysis 〜
青く細長い葉が生い茂るように生えるベチバー。雑草のように素朴な容姿とは裏腹に、その根から採れる香料は古代より人々に重宝され、現代でも男性用香水には欠かせない香料である。
ベチバーの根から採取される香りは「森林に雨が降った後の大地の香り」である。すべてを優しく包み込む大地の香りは人間の根底に流れる自然回帰の琴線に触れ、日々の生活で失われかけていた自信を取り戻してくれる。
「ベチバー」をテーマにした男性用香水はクリードやゲランなど、他のブランドからも発売されているが、その大半は柑橘系果実や甘い芳香を持つ香料とブレンドされ、よりライトで大衆的な仕上がりとなっている。
一方でエトロのベチバーに対するアプローチは対極的であり、ベチバーが本来持つスモーキーで濃縮された樹木や土の香りに光をあて、その豊かさを存分に表現している。バランス感覚も素晴らしく、セージやアルテミシアなどのハーブ類が蒸せるような土の香りを緩和させ、シダーやサイプレスなどの樹木が高級感を、そしてタバコの香りがベチバーのスモーキーな香りと連動し、さらにアクセントとして効果的に香り全体を引き締めている。
ベチバーの素朴でありながら豊かで深い香りを見事に表現したエトロ、ベチバー。飾り立てることを必要としない、真の自信に満ち溢れた男性に相応しい香りです。
デイリーに、そしてオフのゆったりと過ごしたい時に。また、ナチュラルな素材を生かしたシンプルな装いにお勧めの香水です。 |