香りの分析 〜fragrance analysis 〜
写実的に、大胆に描かれた花々の美しいプリント生地が目を惹くレオナールのデザイン。
ともすれば奇抜になり、嫌らしくなりがちな大柄フラワープリントは、レオナールの魔法にかかると、この上なく気高く美しい芸術品として輝き出す。
フレグランス「バラエ」も、このレオナールの世界一とも評されるフラワープリントの真髄を踏襲しており、気品と神秘性そして時折見せる華やかな表情もそのままに、凡庸ではない魅力に溢れた香り立ちを十分に楽しむことができる。
レオナールにとって「蘭」という花が特別な花であるという点も興味深い。レオナールを47年率いている代表トリプルワイヤー氏は蘭について「アジア原産のこの花の美しさを特別で、気高さと静けさが共存している」と評しており、バラエのイメージに非常にマッチしている点は偶然ではないであろう。
実際、バラエのボトルに東洋的なテイストが所々に散りばめられており、黒御影石のような質感を持つ香水瓶に朱赤の組紐など、見る者にオリエンタルな印象を強く与える。そしてもちろんレオナールお気に入りの“蘭の花”もミドルノートに配されており、多種多様な他の花々とともに、レオナールらしいノーブルなフロリエンタルノートを織り成しているのである。
この神秘的なボトルをひとたび開ければ、スパイスを含んだ鋭いベルガモットのトップノートが現れる。石のボトルをイメージしているのか、非常に硬質なノートであるが、それはすぐさま魅惑的な、バラエの心臓部ともいえるフラワーノートへと変容する。
チュベローズ、アイリス、蘭、ジャスミン、イランイラン、ローズなど芳醇な香り立ちの花々が織り成すフロリエンタルノートは高貴なまでに美しいのである。
80年代に発売されたバラエであるが、クリーンでライトな香水が市場を席巻する今、その美しさと香りの特異性がより一層際立つ。本物志向の貴方へ、ドレスアップにお勧めの香水です。 |