香りの分析 〜fragrance analysis 〜
ロベルトカプチのイヴニングドレス、ひと目見ると忘れることのできないほどのインパクトを与える彼のドレスにはオートクチュールドレスを身に纏う人々にありがちな虚飾は削ぎ落とされ、過剰なラグジュアリーを感じさせることもない。
原始的な自然からインスピレーションを受けたヴィヴィッドな配色、彫刻や建築の要素も取り入れた立体的なデザイン、ハリのあるシルクにプリーツの加工を施した素材を多用するなど、ロベルトカプチの研ぎ澄まされた芸術性がディテイルに至るまで見事に反映されているのが彼のイヴニングドレスであり、その凝縮された感性を香りで表現したものが「カプチ ド カプチ」なのである。
ボトルやパッケージにもイヴニングドレスのモチーフである扇形プリーツが施された香水カプチ ド カプチは洗練されたシプレ調の香り。
オートクチュールならではのクラシカルな一面をのぞかせつつ、カプチ独特の華やかなモダニズムが共存する印象を、アルデハイドやフラワーノートが上手く表現している。このスパイスも含んだフラワーノートはやがて深い樹木の香りに落ち着き、身に纏う者はその素晴らしいドライダウンを肌で感じるのである。
ファッションハウスが香水を創る上で、そのブランドイメージやスピリットを香りで表現することは頻繁にあるが、これほどまでにその精神がしっかりと描かれ、香水としても完成度の高いものは稀有である。
見せかけの上品さや気取りとは無縁の香り、カプチ ド カプチ、豊かなシプレ調香水が示す本物の華やかさを身に纏う者に与える洗練の香水です。 |