香りの分析 〜fragrance analysis 〜
香り好きの方なら耳にしたことがあるかもしれないが、フランス人と香水の関係は実に密接であるという。香水はよそ行きのおしゃれでも、背伸びでもなく、生活の一部であるし、服を着るのと同じ感覚である。そして、身に纏う香水はその人の性格やライフスタイルまでも表現し、まさにアイデンティティそのものなのである。
では、エルメスというブランドにとってアイデンティティとなる香水は何なのか?答えは容易である。そう、オー ド エルメスを置いて他にはないのである。もちろんオードエルメスの他にもエルメスのアイコンとなる香水はある。ヴァンキャトルフォーブルはエルメス本店の住所がそのまま香りに名付けられており、エルメスのスカーフを想起させるシルキーな香り立ちであるし、カレーシュもまた、エルメスのロゴである帆付き馬車の名が拝されており、そのエレガンスはエルメスが表現するラグジュアリーそのものである。
しかしながら、エルメスのアイデンティティ、馬具のメーカーとしてスタートし、その後その技術を生かした皮革製品の製造で世界的なブランドとなったエルメスの歴史やストーリーを感じさせるのはオードエルメスなのである。
1951年に発売されたオードエルメスは、オー ソバージュやディオリッシモなど、高い調香技術で数々の伝説的な香水を創作した調香師エドモンドルドニッカにより、香りが元来持つ繊細さを喚起することを創造の源に創出された。
トップノートはベルガモットが際立つが、すぐにシナモンやカルダモン、キャラウェイなどのスパイスの香りが顔を出す。そしてミドルノートのジャスミンやゼラニウムなどと混ざり合い、レザーやレザー様の香りを特徴とするバーチがアクセントとなったウッディベースへと変容する。これだけだと、割と硬派でマットなシプレ調香水であるが、そこにトンカビーンとバニラが加わっているのがおもしろい、それは実に効果的に香り全体を優しくエレガントなものに仕上げている。
エルメスの象徴であるレザーをアクセントにしたオー ド エルメスは、エルメスのスピリットが結晶化した香りであり、エルメスそのもの。そして、エドモンドルドニッカが紡ぐ最上級の香りは、高い製品技術力を誇るエルメスに相応しい上質の香水なのである。
上質の香りでありながら、デイリーな着こなしができるオー ド エルメス。貴方の日常にエルメスのエッセンスを取り入れてみませんか。 |