香りの分析 〜fragrance analysis 〜
「人は女性を見る前に、女性の存在を感じなければならない。」 マルセル ロシャス、斬新な発想でオートクチュール界をリードし続けてきた、フランスの老舗ファッションハウス、ロシャスの創始者はそう語る。
ロシャスというブランドの永遠の魂であり、マルセル ロシャスの女性観が反映されたフレグランス「フェム」は、彼の言葉通り、その香りだけで強く女性をイメージさせ、感じさせる力を持った香水である。
ベルガモットの刺激的な香り立ちという、意外なトップノートで幕を開けるフェム。そのインパクトは美しく、魅力的な女性をひと目見たときのハッとした感覚とよく似ている。そして次に現れる砂糖のような甘美な香りは、女性が近づくにつれ漂い、その優しい物腰を際立たせ、また、フェムの心臓部とも言えるプラムやピーチの瑞々しく熟れた果実の香りが女性本来のふくよかさや豊かさを如実に語るのである。
トップノートにアルデハイドを含むため、拡散性に優れたフェムの香りは、瞬く間に空間をその女性の気配で埋め尽くす。それでも行き過ぎないのはベースノートのオークモスがしっかりとしたシプレ調の土台を築いているからであり、クオリティの高さは伝説の調香師エドモンド ルドニツカの優れた技術と芸術性によるものである。
フェムのボトルはまさに象徴的な女性の形をしている。腰のラインをモチーフに細いウエストと、豊かなヒップラインのコントラストが美しいボトルは発売当初、高級レースに包まれていたが、現在はボックスの内側にレースのデザインが施されている。香りからボトルまで、そのディテールすべてに女性を感じさせるフェムは、まるで女性そのもののようであり、身に纏う女性にオーラを与えるのである。
1944年に発売され、そのスピリットを現代に受け継ぐため1989年にリニューアルされたフェム。
女を創る香水、女を感じさせる香水、女という名の香水… 最上級の貴方を彩る名香です。
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