香りの分析 〜fragrance analysis 〜
流行に左右されるファッションとは対照的に、長く、そして気軽に身に纏えるものとして、類い稀な嗅覚と感性を持ち合わせたニナ・リッチの息子、ロベール・リッチが創出した香水、レール デュ タンはその思惑以上に普遍的なメッセージを持ち、多くの女性達に輝きを与えることとなった。
「香水の創作は愛の行為であり、人生にロマンティシズムと夢を与える」と彼は言う。
戦後1948年、自由を失った女性が輝きを取り戻すために創られたレール デュ タンは愛・優しさ・平和・自由というメッセージを乗せ、多くの女性達を希望の光で照らした。その光は時代を超えて普遍的なものとなり、世界で最も売れている香水となったのである。
その普遍性は何者にも心地良さをもたらすレール デュ タンの香りにも表れている。カーネーションを中心としたスパイシーなトップノート、ジャスミンやバラ、くちなしなど強い芳香を持つ王道の花々が構成するミドルノート、ムスク、白檀、イリスなどの肌に吸い付くマットなベースノート。これらが落ち着きの中に気品と華やかさを備えた稀有なフラワーノートを創り出し、身に纏う者はひと噴きした瞬間に優しいフラワーベールに包み込まれるのである。
香水ボトルはラリック製の高級ボトルを使用、「芸術品には芸術品を」という信念のもとに、ディテールまでこだわったボトルの中でも、愛と平和の象徴である2羽の鳩をあしらったフラコンボトルはあまりにも有名。
身に纏う者の人生に流れる時間を、夢とロマンティシズムで満たす香りレール デュ タン。
刺激的で濃厚な香りで女性性をアピールする香りとは対極にある、優しく包み込む香りはロマンティシズムと愛の象徴として、そして普遍的な女性性を持つ母なる香りとして輝き続ける。
香水を身に纏い始めたばかりの若い女性にも、そして人生を謳歌し続ける女性にも相応しい香りです。 |