香りの分析 〜fragrance analysis 〜
カジュアルだけれどもフォーマルな感じが漂う香りは1962年にパリにオープンしたフランスのファッションデザインハウス、ジャン・ルイ・シェレのフォーマルだけれども着やすいファッションという特徴に通じている。
ヌイ ドゥ シェレとはシェレの夜という意。1993年に販売された香水"Nuit Indiennes"〜インドの夜〜を踏襲したリニューアルフレグランス。当時より、ピーチの香りが特徴的なソフトな香りに仕上がっている。
ヌイ ドゥ シェレの香りは夕暮れから夜に変化するように、軽やかだった甘さが、だんだんと深く濃厚な香りに変化する。
トップノートはピーチを中心としたフルーティの香気が柑橘系とグリーンリーフの香りと合わさった、さわやかな甘さふんわりと香る。
ミドルノートにはジャスミン、スズラン、ライラックなどの可憐な花々で構成され、トップノートからの甘さにフラワー特有の華やかさを加えている。
ベースノートは実に濃厚で甘い調香。シベットやムスクなどの動物性香料がヴァニラやトンカビーンなどの甘みのある香料と融合し、濃厚な香気を作り出している。また、ベンゾインという樹脂系の香料を加えることにより香気全体を落ち着かせ、持続させる役割を果たしている。
ヌイ ドゥ シェレの香りは調香師Nathalie Feisthauerが19世紀末のウィーンで新しい芸術の波を起こしたアールヌーボー画家クリムトの”接吻“にインスパイアされて創造された香りであると言われています。クリムトの紡ぎ出すエロティックで幻想的な世界のように、ヌイ ド シェレの甘い香りは魅惑的な女性像を髣髴させます。 |