香りの分析 〜fragrance analysis 〜
緑豊かな田園風景、優雅に咲き誇るバラで彩られた石畳のガーデン、ゴルフに興じるご夫婦や乗馬を楽しむ男性・・・これらの風景はシスレーが1974年にオードカンパーニュを発売した際、作成された広告のイメージショットである。
ヨーロッパの人々にとって夏の休暇は特別である。常日頃から昼が短く日照時間の少ない地域に住む人々は、夏になると太陽の光を求めて南へ移動し、そこで思い思いのバカンスに興じるのである。
そんなバカンスの中でも南仏プロバンスに代表される、ヨーロッパ田園地方での休暇を描いたオードカンパーニュは、瑞々しく、強いグリーンノートが特徴の香り。
それぞれが個性的な香気をもったグリーンノート(トマトリーフ・バジル・パチュリ)や野に咲く小花、土の香りが、その個性が消されることなく上手く調和し、様々なバカンスの情景を十分なリアリティとともに描いている。
そして特筆すべきは、Eau de Campagneが現在エルメスの専属調香師として活躍するJean Claude Ellenaによって始めて創られた作品であるという点だ。
Jean Claude Ellenaは甘みと苦味の絶妙なバランスと、ナチュラルで透明感溢れる調
香が持ち味の調香師であり、エルメスの「庭シリーズ」で知られるように、自然の情景
をたくさん表現している。美しい夏の情景を描いたオードカンパーニュは、そんな彼の
原点とも言える作品ではないだろうか。
オードカンパーニュはひと噴きするだけで、私たちを日常の喧騒から引き離し、癒しの世界へ誘います。しっかりとしたグリーンノートと柑橘系果実のフレッシュな香り立ちは、汗ばむ季節の身嗜みにもぴったりの香水です。もちろん、休日はご旅行時など、リフレッシュしたい時にはとても重宝する逸品です。 |