香りの分析 〜fragrance analysis 〜
水の香りとは一体どんなものだろうか?今までに、いくつもの水をテーマにした香水を見てきたが、その殆どがどこか人工的で、「自然」とは対極にある香り立ちをしていた。
それは香水が基本的に自然の植物香料から創造されるものであり、もちろん自然界に水の香料などはなく、水をイメージさせる香料を巧みに調合し、時には人工香料も使用することで表現してきたからである。
しかしながら、「ナイルの庭」が描く水はこういった水へのアプローチとはまったく異なる、極めて自然な香り立ちであり、まさに生命の源である水を体現できる香りなのである。
「ナイルの庭」は調香師Jean Claude Ellenaがエジプト、ナイル川に寄り添う街アスワンからインスピレーションを受けた香水である。
ゆったりと永遠に流れるナイル川、光に照らされ揺れる水面の穏やかな表情、豊かな水源に宿る睡蓮や果実たち。Jean Claude Ellenaはこの水に育まれた美しい情景を創るパーツのひとつひとつを香料として使用することで、極めて自然な水の情景を香りに込めることに成功したのである。
具体的には、果実に宿る水としてのトマトやグリーンマンゴ、植物に宿る水としての睡蓮や水草の一種である蒲(がま)などが中心となって香り立ち、樹脂や植物の根などがこれらの香りを支える大地の役割を果たし、シナモンやインセンス(お香)がエジプトの空気感を香りに加えた。
香り立ちは「地中海の庭」よりもより透明で瑞々しく、そして甘さは控えめである「ナイルの庭」、生命の源である水に抱かれる極上にヒーリングリゾートへの旅へ出かけてみませんか。 |