香りの分析 〜fragrance analysis 〜
ベラッジオ=ベロージア、北イタリア湖水地方の町の名である。古くはシーザーやローマ皇帝などのヨーロッパ貴族、そして現代ではベルサーチなど多くの芸術家に愛されている高級別荘地コモ湖周辺。現在でも17世紀から18世紀に建設されたビラ(別荘)が残る風光明媚な避暑地である。
キャロンの創始者・調香師であるアーネスト・ダルトフは絵画や旅先での風景を創香のモチーフにしていた。決してお金儲けではなく、人真似でもない。純粋な創作活動は彼の香りに独創性と真実の美という、名香には欠かせない大切な要素をもたらしている。
1927年に発売された「ベロージャ」もダルトフと公私ともにパートナーであったフェリシエ・ヴァンパイユと北イタリア、ベラッジオにある避暑地、コモ湖周辺に旅行へ行ったときに見た風景をモチーフにしている。そしてダルトフがヴィラ・セルベローニの公園で見つけたカーネーションのつんとした匂いを感じている時、フェリシエがその町の名前を香水の名にするよう勧めたという。
呼びやすいようにベラッジオからベロージャに変えられた香水「ベロージャ」はカーネーションを中心に100種以上のフラワーエッセンスで構成された複雑な香水である。カーネーションの周りを取り囲むのはジャスミン、ローズ、スズランやスミレ、そしてベースノートには白檀、ムスク、ヴァニラなどを中心に創られている。
トップノートはカーネーションの香りを十分に表現し、パウダリーでつんとしたスパイシーな香り立ちである。しかしながらこのスパイシーな香りは非常に早い段階で他の花々に取り囲まれ、多彩な表情を見せる。まるで、花束が見る角度によって違った表情を見せるように、次々と多様なアコード(香調)が表れては消えていく。そして最後にはこのフラワーフラッシュもムスクの温かい香りに包まれ、落ち着くのである。
優美でクラシカルな雰囲気、上質のラグジュアリーを感じさせるベロージャ。キャロン特有のパウダリーな香調が貴方の淑女な一面を演出します。
春の木漏れ日のように、一貫して温かいベロージャの香りは、日中の装いにより相応しい香りです。バカンスなど日常を離れたシーンに、カジュアルになり過ぎないデイリーの装いにもお勧めの香水です。
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