香りの分析 〜fragrance analysis 〜
"羨望や妬みというものは、その存在を認めようが、認めなかろうが、誰しもに存在する感情である"とは、1994年にグッチのクリエイティブデザイナーとして就任したアメリカ人デザイナー、トム・フォードがエンヴィ=羨望について語った言葉である。
都会的でミニマルなデザインの中に散りばめられた、官能という名のスパイス。洗練されたファッションに留まらないセンセーショナルなテイストがトム・フォードのスタイルだ。そして、フレグランス、エンヴィにもそんなトム・フォードのセンシティブな世界が十分に表現されており、爽やかなグリーン、フレッシュフローラルの香りの中に艶めかしい官能が潜んでいるのだ。それはまるで、どんなに清廉な人間であろうと、エンヴィ=羨望という感情は持っているのだと挑発しているようである。
ひと吹きした瞬間、ヒヤシンスのフレッシュなグリーンフローラルノートの際立つファーストインプレッションから、白いマグノリア(泰山木)の花の透明感のある甘い香りが漂い始める。そしてグリーンノートのスミレやイリス(アイリス)、フローラルのすずらんなどの初夏に咲く白い花のブーケ、6月初旬に白い花をつけるグレープの香り、ジャスミンが次々に顔をのぞかせながらムスクの官能の香りと共に広がる。
その様子は官能的な香り立ちに変わっていきながらも、ただ触れられるのを拒否するかのような「メタリック」なクールな香り立ちで周囲を圧倒する。その佇まいは「羨望」(エンヴィ)と名づけられるに相応しい高揚感のあるフレッシュフローラル調の香りという意味で、他のフローラルフレッシュの香りとは一線を画く香りであることは間違いない。
6月に咲く花々の香りがブレンドされているように、「花嫁」の香りとしても存在感を放つことができる稀有な香りを是非パルファムグレードでご堪能下さい。
|