香りの分析 〜fragrance analysis 〜
オー ド ジャンシャンヌブラン、リニューアルされたオ ー ドランジュ ヴェルトとともに2009年に発売されたオー ド パンプルムス ローズは、エルメス専属調香師として名高いJean Claudia Ellenaが古典的なコロンの原型に、現代調香の息吹を加え、「エルメスのコロン」を創造することを目的に世に送り出された作品である。
そもそもコロンとは、主に男性の身嗜みを目的とし、ベルガモット等に代表される柑橘系果実の刺激的な香りとグリーンやオークモス(苔類)のマットで硬質な香気で、男性的な要素を表現するコンサバティブな香りであるが、エルメス=Jean Claudia Ellenaは、バリエーションに乏しく、画一的になりがちであったコロン様の香りに、各々のテーマを与えることで、個性を際立たせることに成功した。
そして何よりもその香りは、Jean Claudia Ellena の調香の巧みにより、極上の透明感と、流れる水のようにウォータリーな質感、そしてナチュラル&ハーバルな香り立ちがもたらされたのである。
グレープフルーツとローズというテーマを与えられた香水、オー ド パンプルムス ローズ はグレープフルーツの果汁をローズウォーターで割ったような瑞々しい香り立ちに、オレンジ、レモン、ベチバーをブレンド。Jean Claudia Ellenaの真髄を感じさせる、優しくもシアーな香りは、テール ド エルメスやナイルの庭などに通じる、柑橘系果実とグリーンノートの融合が美しい香水である。
特筆すべきは、古典的なコロン調の香りに含まれる、マットなグリーン様の香りにRhubofixという新しい香料を使用したことであろう。このRhubofixのピリっとしたグリーンの香気が香り全体を支配しているため、重々しくない、さらりとした香りを実現したのである。
シリーズとして発表されたオー ドランジュ ヴェルトが男性的で、古典的なコロンに近い香りであるならば、オー ド ジャンシャンヌ ブランシュは静かで個性的、そしてオー ド パンプルムス ローズはプリズムのような明るさと爽やかさを湛えた、好感度の高い香りである。
誰にでも愛される香りは現代男性の理想とも言える香水。貴方のワードローブに欠かせない香りであることは間違いない。 |